Interview
臨床腫瘍科の選択理由と、現在の研究について教えてください。
「臓器横断的ながん薬物療法。がん治療の新たな未来に期待して。 」
臓器横断的ながん薬物療法のスペシャリストを志した事がそもそもの動機です。 これまで「がん」 というと〝不治の病〟というイメージがありましたが、薬物療法の目覚ましい発展により長期予後が見込める症例が増加しています。
様々な抗がん剤が開発されることで、治療選択肢も増加しています。同様に、副作用マネージメントについてのエビデンスも、着実に蓄積されており、有害事象対策に関する進歩も目覚ましいです。
一方で、がん治療における現代の課題として浮上している点は、治療の複雑性や臓器横断的な治療開発があります。現在のがん薬物療法では、薬物の選択だけではなく、患者毎の生物学的要因なども踏まえた総合的なアプローチが必要です。さらに、癌腫ではなく、遺伝子毎に臓器横断的に投与される薬剤も増えています。そこで、複雑な治療選択を行え、臓器横断的ながん治療を実施できるがん薬物療法の専門家のニーズが高まっていると感じております。
臨床腫瘍科は、臓器の枠を超えた治療を行い、適切ながん薬物療法の選択ならびに副作用マネージメントの提供を目指しています。

がんゲノム医療とはどのようなものですか?
「がん細胞の遺伝子を分析し、個々の患者に最適な治療法を選択する個別化医療。」
がんは、ゲノムの変化に伴って塩基配列の違いなどが生じ、遺伝子が正常に機能しなくなった結果、起こる病気です。たとえば喫煙や生活習慣、加齢などが原因となり、正常な細胞内の特定の遺伝子が後天的に変化(変異)することによって、がん細胞が発生します。
がんは、DNA配列の変異によって細胞の増殖制御機構が破綻し、異常な細胞増殖が起こる疾患です。環境因子(喫煙、紫外線など)、生活習慣、加齢などにより、がん抑制遺伝子やがん遺伝子などの重要な遺伝子に体細胞変異が蓄積することで発症します。分子標的療法は、がん細胞特異的な分子を標的とした治療法です。がん細胞で異常活性化したシグナル伝達経路の特定のタンパク質を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。
免疫チェックポイント阻害薬は、T細胞上の免疫チェックポイント分子(PD-1やCTLA-4など)とその ligandの結合を阻害することで、がん細胞に対する免疫応答を活性化します。
それらの薬剤は現在の多くの癌腫の標準治療の一端を担っており、適切な管理が望まれます。
副作用も薬剤毎に多岐にわたるため、適切なマネージメントを学ぶことも臨床腫瘍科の重要なポイントです。


臨床腫瘍科の魅力を教えてください。
「臨床腫瘍科は、まだまだ発展途上。」
臨床腫瘍科は、がん薬物療法における臓器横断的なアプローチを実践・研究する新しい診療科です。
従来の臓器別診療の枠を超えた包括的な治療知識と技能の習得が可能であり、新たなエビデンス創出の機会も豊富です。
当科は、全国の研究機関や臨床試験グループとの連携を積極的に推進し、関西医科大学の存在感を高めることを目指しています。他機関との共同研究参加を通じて、がん薬物療法の発展に貢献しています。
臨床腫瘍科の可能性にご興味をお持ちの方は、ぜひ見学にお越しください。
新しい分野だからこそ、共に成長できる機会があります。

臨床腫瘍科の未来を担う
皆さまへ
エビデンスに基づく臓器横断的がん診療
Evidence-Based Oncology